昨日今日と旅館に泊まりがけで行ってきたが

最悪に二日酔い。全身ゲロくさい

かみのやま温泉にいったはずなのに、だ。
例年は潰れるまで飲むつもりはなく、程々に飲んで温泉にいっぱい入って朝ご飯を3杯おかわりする。
お昼はガッツリ系のごはんをフラン氏か、先輩を誘っていく、ここまではテンプレのはず。

残念ながら、今年は何一つ成し遂げてはいない。
楽しみにしていた、旅館のつや姫納豆かけごはんの前に座ることさえ許されなかった。
最悪の朝だ。







去年の追いコンで面倒なのに絡まれたのが私としては少々どころか相当にトラウマで、「中途半端に酔わせるのは最悪だ。やるなら意識を刈り取るまで飲む」と、アルハラ上等で今年は臨むつもりだった。
寒河江の澤正宗、米沢の東光と2つの酒造を見学し、買ったお酒の(後輩に買わせた)数は二桁にも上る。

どれも最高に美味しいものばかり。
お酒が弱く、日本酒も飲みなれない後輩達に注ぐべきは
「スーッと入ってしまう、フルーティーで飲みやすい日本酒」
こればっかりはお酒素人でも眠りに誘うことが容易いレベルで強い。
事前の検討は万全だった。全員を眠りに誘う、中枢神経を刈り取るだけの準備は念入りだった。
しかしなぜだろう。

私がトイレから出られないでいる。

私はそこまでお酒に強いわけでも、弱いわけでもない。
ただ持ち前の精神力で、アルコールによる侵略を食い止める力は持っていたはず。
しかし、今回ばかりは違った。
耐えることが出来なかった、いや、耐えようとする瞬間が来なかったのだ。
それは刹那の出来事―薄れゆく意識と意識との繋がりを自覚できる瞬間が、一時もない。

私は今、あの時を冷静に振り返る。
決定打はなんだったのか。
私が一番量を飲んだ、いや飲まされてしまったお酒は、確か軽快で口当たりが良く、フルーティで澄みきった味。もったり感のある甘さではなく、胃を直接刺激するような味。
澤正宗 古澤酒造紅花屋 重兵衛 大吟醸酒 1.8L 春第3弾10
澤正宗 古澤酒造紅花屋 重兵衛 大吟醸酒 1.8L 春第3弾10
たしかこれだ。
そう、フラン氏の置き土産だ。
卒業しても尚、貴様は立ちはだかるのか…流石だフラン。
このお酒最高に美味しかった。
お蔭でその日一食目だった食事は、身体の中に吸収されること無く水に流された。
その日摂取した中で最も吸収速度の速いアルコールに、押し出される形で。


卓球部でここまでゲロゲロになったのは、多分初。
主将シーズンであまりにやらかすから、それから自重してあまり飲まないようにしていたのだが
あれだけ美味しい日本酒を揃えられると、(といっても酒造見学を企画したのは私自身なのだが)飲まないわけにはいられない。

負けたよ。フラン氏にかんぱい

追いコンなのに、ご飯も温泉もいい話をして後輩を感動の渦にぶち込むことも何もできなかった私。






寄せ書きを書いた色紙を貰ったのだけれどさっきまで開けることさえしなかったが、今開けてしみじみ思う。
テンプレ感のあるコメントがなく、ネタ被りも少なめに皆長々書いてくれていた。
お世辞もあるだろうが、割といい先輩を演じられていたらしい。
私の卒業で、時代の終わりを感じる
そんなフレーズが散見されたが、私自身もそれを強く実感する。
何せこんな記事を書いているくらいなのだから。
フラン氏が消えて感じた寂しさと同様の寂しさが込み上げる。
あれだけ気合い入れて勧誘して、ご飯誘って性格を考察して、卓球も分析して、試合ではこれでもかと煽った後輩達のことをもう考える機会が無いのだから。
もっといい人になってくれるよう、育てる立場でなくなるのだから。
後輩を指導した記事を書く機会ももう無くなるのだから。
後輩の心に響かせたくて、わざわざ哲学勉強して記事を書く機会ももう二度と無いのだから。
特定の後輩に向けて記事を書いて、「これは私のことですよね」と聞かれ、二回戦スタートなんてことももう無い。



あれだけ好きだった後輩達と、飽きるくらいに顔を突き合わせる機会はもう無いわけだし、もっと知ろうとする必要もない。

これからの私は「忘れられる存在」「覚えてもらう存在」と卓球部にとっては受動的な存在となる。
「私が」何かするのではない、「私は」何かされるだけの存在となる。

これを寂しいと表現せずして、何と表現すべきだろうか。
時代の終わり
とは、卓球が強くて個性が強くて主人公格ばかりが揃った最高に面白かった時代の終わり。
私が誰かの為に何かしようと、立て直す立場でなくなる、これもまた時代の終わり。

私にとって今回の卒業は、送られる方でも送る方でも双方の意味でもある。
隆盛を誇ったあの時代との最後の別れ、後輩達からの巣立ち。



思い返せば、私は泣けるだけのことをしてきたし、泣けるだけのことを見てきた。
私は卒業し、泣くだけの権利はあると思う。
私はゲロゲロだった、と先に書いた。
とにかく辛く、一度涙を流せば止まらなかった。
なんでこんなに飲んだんだろう、なんでこんなに辛いんだろう、私は心底後悔し続けた。
あの涙は悲しいものではない。辛いものなのだ。

それ故に私は、飲み会での写真を見ることが出来ないでいる。
間違いなくそこには、モンスターと化した私が写っているからだ。
(どうやら暴れ回っている姿が動画に収められているらしいが、恐恐とするところではある。)
その姿に羞恥心を抱いている分、まだ心が卒業していないことを意味するのだろう。
果たして私が、モンスターを見る日が来るのだろうか。




PS
後輩達を見ていると、嫌いな後輩が一人もいない。
とっても好き、まあまあ好き、好き、少し好き
な後輩しかいない。
こう思えるのも先輩のお蔭なんだろうな、と結局哀愁に浸る羽目になるのだが。